落合下渡船場から裏道と住宅地と市街地を縫うように歩く。時間にすると20分くらいだろうか。迷わないように府道沿いに歩くことを優先したのだが、なかなかカラフルな街である。10分ほど歩くと見まごうことがない巨大なループ橋が見えてきた。この橋の名前は「千本松大橋」。予習はバッチリなので、あの下に千本松渡船場があることは分っているのだ。これだけ大きなランドマークがあると、さすがに地図は不要である。いや、このランドマークが目標であることを確認するために地図は必要ともいえるか。いずれにしても、あとは歩くのみである。時刻は正午過ぎであり、付近の工場従業員の皆さんがランチに繰り出す時間と重なった。私は歩くのであまりお腹に物を入れずに軽食でつなぐ予定なので、脇目をふらずにグイグイと歩を進めるのみだ。
地図で見た時のイメージそのままの渡船場である。巨大な橋の真下に位置している。時系列的には渡船場の上に橋をかけたことになる。わざわざ上にかけずともと思わないでもないが、渡船場にいたる道につなげたほうが何かと便利だったのだろうと思う。かくして、新旧の渡河施設が仲良く共存することとなったわけだ。
順序が逆になったが「仲良く」と書いたのには理由がある。千本松の橋は、ぐるぐるとトグロをまいて高度をかせぐ方式である。これは河川を頻々と航行する船舶の通過を考慮したものであり、普通の橋のように低すぎると接触してしまうおそれがあるからだ。しかしながら、この橋を歩行者・自転車が登るにはちとキツイものがある。ましてや日常の生活道路にはとてもじゃないがなりえない。そこで自動車は橋を使い、歩行者は渡し船を使うという具合に棲み分けが確立しているというわけ。「新旧=衝突・対立」という構図が日常茶飯だが、こういうケースはわりと珍しいといえるだろう。
橋の真下でループ橋のループ感をいかにして動画で表現するべきかと思案中に、渡船のエンジン音が響いてきた。このあたりの岸壁間距離は約230m。落合上のプラス100mではあるが、かなり広がった印象を受ける。絶対泳げないよな〜とも思う。木津川の流れを斜めに横切るので、落合上下渡船場のドリフト走法とは少し違うが、こちらは直進しながら微妙にテールが流れている。すなわち船首を微妙に河上に向けて斜めに向かっているイメージだ。コースはおおむね千本松大橋の真下に取られているようだ。船名は「はるかぜ」である。
河の中ほどを過ぎると、さすがに動画撮影の間が持たなくなってくる。なにしろただ走っているだけなのだ。このあたりで何か変化が欲しいところだ。ネットに上げる時はエフェクトでもかけるか・・・、なんてことを考えてしまう自分が少し嫌になった。全国に100万人いるといわれるWEBページ管理人のサガである。とりあえず千本松大橋を走る車と渡船を枠内に収めることで、「新旧」をイメージしてみた。うまく表現できていると良いのだが。
動画撮影のために西岸行きの船を見送った。あいた時間に待合場を観察・撮影する。屋根はあるが壁は2面しかない。おかげで強風がふきすさぶこの日は寒いことこのうえない。造りこそ違えど落合上下と似たような印象を受けるのは、良い意味で規格化されたお役所仕事の成果なのだろう。
この渡船場でもっとも目をひいたのは「忍び返し」であった。しかも特大サイズ。有刺鉄線を巻きつけることでハイブリッド化している。確かめていないが、高圧電流は・・・おそらく流れていないだろう。見るからに威力は高そうである。これは「刺さる」という実行性に加えて、視覚的・心理的威圧効果を狙ったものだと想像できる。はたして特に取るべき物もないような渡船場に侵入する賊がいるのだろうか。にわかに信じがたいものがある。だが、過去に前例があったからこそ予算がついたのだろう。いったい過去に何があったのだろうか。私はよそ者なので、この点に関して深く詮索しないことにする。
書き忘れたことがある。次の木津川渡船場に向かう都合で、南側から回り込む必要があった。そのため千本松渡船を往復することになった(南→北、北→南)。「運行編」は最初に見送った北行き。「船中編」は北から南に戻る時のものである。段取りが悪くて30分を無為に費やすことになってしまった。反省。
【 ムービー 千本松渡船場 運行編+千本松大橋 104秒 ボリュームに注意 】
【 ムービー 千本松渡船場 船中編 127秒 ボリュームに注意 】