津守駅から西成公園を突っ切る。これがグーグルマップをもとにした事前の計画。しかし、件の西成公園は北部紀州的感覚に照らすと「ものものしい」状況だった。サイトのテーマと大幅に外れるので詳しくは書かないが、紛争地域における国連軍管理緩衝エリアのようだと感じた。なおここで目にした「金網・フェンス・有刺鉄線・忍び返し」は、この「大阪渡し船散策」の随所で目にした「特徴」だった。大阪に住むのもいろいろ大変なのだろうと思う。もっとも日本にいながらにして「国境気分」を味わえたのは収穫だったともいえるが。
通りがかった地元の方に道をうかがう。明確なお答えはいただけなかったが、どうやら通り抜けは難しいということを遠回しにおっしゃっているようだ。こういう場合は地元の人の意見を尊重するのが失敗しないコツである。早速ではあるが、鋭く予定を変更することに決定。新ルートは西成高校を北回りに迂回して「落合上渡船場」に向かうルートである。
川の方向を意識して道なりに行く。すると自然に「落合上渡船場」の看板を発見。どうやら幸先がよいのは本当らしい。事前の予測では、川沿いの堤防道路から船着き場が見えるというイメージがあったのだが、このあたりに映画「男はつらいよ」に毎回登場する江戸川沿いの「堤防道路」のようなものはない。というのも川沿いは工場用地となっており、直接船を横付けして搬送作業を行うためである。そのため渡船場にアプローチするには、ピンポイントで入る脇道を発見する必要がある(だから見逃すと厄介なのだ)。
船着き場の看板を撮影中に「ブォォーン」というくぐもったエンジン音を耳にする。もしやと思い船着き場へのアプローチを駆け上がると、こちら側の船着き場から大正区側へ渡し船(北斗)が出発するところだった。鋭くデジカメのモードを「動画」に切り替えてシャッターを押す。いかにして針路を取るのかと思い液晶画面の中で目をこらす。出発するとすぐに舵を大きく左に切りこむ。するとリアがズルズルと右に流れ(ように見える)、船着き場に対して平行に近い角度になる。そのまましばらく直進したかと思うと、再びリアを流して対岸に着岸という次第。いわゆるS字機動を100mほどの距離で行うわけだ。距離が短いのと川の流れがあるのとで、このような機動が最適なのだろう。でも、何の予備知識もなかったので少なからず驚いてしまった。動画の日にしたのは、どうやら正解だったようである。
S字機動は横で見ていると、遠心力で飛ばされるのではないだろうかと心配になる動きである。しかし、実際に乗ってみるとそれほどでもない。もちろん手すりにつかまるのはお約束。でも、地元の自転車乗りのお客さんは、ハンドルを持ったままで乗っている。まあ、思ったほど遠心力は感じない。それもそのはずで、そんな危ないものを日常の足である渡し船で使うはずがないのだ。
朝夕のラッシュ時は増発されるが、平日・土日ともに15分間隔で運行されている。そのため地元の人は時刻表なんか関係なしに利用している・・・のかと思いきや、そのあたりはさすがにきっちりチェックしているようだ。とはいえたいした待ち時間でもないので、旅行者の場合は始発と終発以外は気にする必要はないだろう。